往復書簡、ふたりの本棚

本や音楽×日々の出来事、ゆき(うっちゃん)とりえ(やそりえ)の往復書簡

よりそう温かさ~『大丈夫やで』坂本フジヱ~ゆきより

本が好きだと心底思うのは、こういう本との出会い。

情報や新しい知識ではなく、その作者と共鳴したとき。文章からわきでるオーラを感じるのかな、その本の空気感が私を包み込み心地よくさせる。文字の詰まった紙の塊が一気に魂を帯びた存在になる。人を好きになるのと同じ。運命の出会いだと感じずにはいられない。

 

以前から、助産院での自然分娩を望んでいた。やはりリスクもあると聞くし、家族も不安があるだろうから、医療介入のない自然分娩についての本を探してみようと思ったらこの本に出会った。

ほとんどが1ページずつの筆者坂本さんの経験に基づく短いアドバイスで、読みやすい。けれど、知識としての情報うんぬんではなく、全体にあふれる彼女の包容力に心が溶かされていく。本当に、昔ながらの懐かしさただようおうちのような和歌山の坂本助産院に行って、坂本さんが穏やかにやさしく語ってくれているような感覚になった。特別なことでなく、母や祖母が言ってくれるような「冷やしたらだめよ」とか「つわりが苦しいのは、ホルモンが悪さしてるからよ。自分だけやない、古今東西みんなが通る道。」なんてことを読んでは不思議と癒された。だからつい、ふとしたときにぽろぽろっと涙が出てしまったんだと思う。正直、今はもうどのページで泣いてしまったのかわからないくらい。

 

『赤ちゃんは、おなかの中からちゃあんと外の様子を感じています。受胎を知ったそのときから、子育ては始まっているんです。「この家は楽しそう!」そう感じることが赤ちゃんにとっての成長エネルギー。新米ママの初仕事は「楽しそうに暮らす」こと。』

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毎日つわりで苦しくて、自分のしんどさにばかりとらわれていたかもしれない。

この世は素晴らしい、そう思って子どもには生きてほしい。正に一心同体の今、私がどう生きているかがこの子の外の世界を知るすべて。見るもの感じるものすべてが二人分の意味を成すのかと思うと二倍嬉しくもなる。

あなたから届いた安産のお守りと手紙、本当に嬉しかった。私の目となって、耳となって、肌となって感じてくれたとっても素敵な場所で、深く私のことを想って求めてくれたもの。お守りがまとった気を感じるよ。愛されて、守られて、共鳴して生きてるなって改めて思います。苦しいことが多い気もするけれど、その何百倍ものエネルギーで強く時々こう思う。この世は美しい、生きるとは幸せなこと。そう思える私はやっぱりとても幸せだ。この人生と、この運命に感謝。

P.S. 妊娠中でホルモンが悪さしてるから、いつも以上に重い文章かもね。第三者が読む場合はひくかも?!第三者は気にしないブログなので悪しからず。