往復書簡、ふたりの本棚

本や音楽×日々の出来事、ゆき(うっちゃん)とりえ(やそりえ)の往復書簡

Open my shelf  ~♪月ひとしずく 小泉今日子~ ゆきより

 ポストにやそりえからの手紙を見つけると、わくわくした。すぐにでも開けたい逸る気持ちを抑えて、カバンを置いてコートを脱いで、準備を整えて封を切る。

 高校を卒業して、自然に手紙のやりとりをするようになった。大学時代、海外生活中、社会人になってからも。どちらからともなく、書きたいときに書いた。恋愛、バイト、家族のこと、なぜか最近もやもやしているとか、調子がいいとか。そして、その時感じた本や音楽のことを興奮して紹介し合った。

 やそりえは、いつも静かで美しい詩のような絵画のような文章を紡ぎだす。私の方は、エネルギーばっかり溢れた感情的すぎる感傷的すぎる武骨な手紙だった。伝えたい以上の想いが文字の魔法にかけられてどんどん現れた。お互いに、言いたいことを素直に書いて、それを愛情たっぷりで受けとめた。どんな醜い気持ちも、滑稽さも、恥ずかしさも全部吸収した。ラブレターよりもラブなレター。私の長い思春期は、本と音楽と手紙に支えられ、それらが静かに収められた本棚は私の心の中そのものみたいだった。

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 二人で好きな本や音楽について、昔からの空気感のまま自由に綴っていきたいね、ということでブログを始めることにした。恐れ多くも、私は小泉今日子さんとこぐれひでこさんの往復書簡にインスパイアされたのだが、やそりえは小泉今日子さんの書評集がとても素敵でと言った。キョンキョンが二人の中に同時に現れた!今までキョンキョンの話なんてしたことがなかったのに。そういう偶然が必然的に私たちには起こる。

 キョンキョンの歌を久しぶりに聴いてみた。「ブログ、うまくできるかな。」そんな気持ちをゆるーく笑い飛ばすように、井上陽水さん、奥田民生さん、キョンキョンの三人が作ったこの歌は、心を軽くしてくれた。

 

 ♪月ひとしずく 小泉今日子

 

 人にまかせて 僕らは行こう

 人にまかせた 人生だから

 何を言う 何も言うな

 今夜の月もきれいだね

 

 人の言葉で そのまま来たら

 とても疲れて 身体に悪い

 当たり前 当たり前だ

 それでも月は見ないとね

 

 夜のとばりの香りが なんて素敵

 雁が飛び行く眺めに 月ひとしずく

 

 周りを気にせず、今まで通りあなたに伝えていく気持ちで書こう。本や音楽、お酒や料理、大好きな人との時間、毎日のエッセンスが心を満たしていくことを。心の月が欠けていくことも素直に。私とあなたの胸にきらり月ひとしずく。そんな風に書いていきたい。そして口ずさむ♪りえにまかせて、私は行こう~。