往復書簡、ふたりの本棚

本や音楽×日々の出来事、ゆき(うっちゃん)とりえ(やそりえ)の往復書簡

母と母~♪花束を君に 宇多田ヒカル~ゆきより

 珍しく生々しいあなたのリアルが具体的に垣間見えた記事、本当に手紙のようで、このブログがまた色濃くなったようで嬉しいわ。『いのちのために、いのちをかけよ』も読んでくれてるんだね。ああいう本は本当に芯をわかる人にじゃないと、自分が読んでることさえ言いにくい。ブログで取り上げるのも躊躇いはあったけれど、今だから感じてる生の私の感性を出すことが自分にもブログにもいいと思ったよ。妊娠・出産で興奮しているであろう今の状態を残しておきたい。時間とともに、薄らいだり馴染んだりしてしまう前に。

 あなたが仕事先から交代を告げられたこと、私もとてもショックです。現に私も妊娠で仕事を辞めるように促されたし、母としてと社会人としての両立の難しさや、社会のシステムなど女性の在り方・生き方をずっと考えている。答えは自分の中にまだ見つけられていないし、人によってもそれぞれなのだろうとも思う。自分が出産前に思っていた産後の社会復帰のこと、産後すぐに思ったこと、今思うこと、変わってきている。最初はできるだけ早い復帰が望ましい気がしてたけれど、今はじっくりゆっくり息子と過ごすことの大切さを感じてもいる。本当に急いで社会復帰する必要があるのだろうかって。何が大事なんだろうかって。多くの女性がきっと同じように思ってきたり、同じような壁にぶち当たってるから、在宅ワークとか自分でできるビジネス始めたりとかそういうことかと今更納得。

 

花束を君に贈ろう

愛しい人 愛しい人

どんな言葉並べても

君を讃えるには足りないから

今日は贈ろう 涙色の花束を君に

 

 妊娠中、ちょうど宇多田ヒカルが活動再開して、よくラジオで聴いていた(相変わらずラジオ聴いてるのよ)。漠然とした抽象的な歌詞ながら、歌声やメロディから優しさと胸を締めつける切なさに何度か涙した。お母さんになった宇多田さんの母性に触れた気がして。彼女もまた、母になってバルブが全開に開いたというか、つくづく感性の人なのだと思う。一度目の結婚直後のアルバムも素敵で、探していた居場所を見つけた幸せと、ずっと背後にあった切なさの絶妙なバランスに心を掴まれた。アーティストだから当たり前なのかもしれないけれど、ここまで露骨に、かつ美しく自分の変化した感性を表現できる人はあまりいない気がする。

 この歌もまた、亡くなったお母様を想ってつくられたと言われてるけれど、どことなく子どもに対しての言葉のようにも感じていた。それはきっと、自分と母親を思うとき、我が子と母親である自分もどこか重ねてしまうからかな。自分が母親になって、母は私のことをどれほど大切に思っていただろうことや、自分がいかに愛されてきたかを真に感じて、同時に自分の未熟さと少し大人になったのかもなという部分を感じる。命の連鎖は愛情の連鎖だよね。ありきたりながら経験してみないとわからなかったことだらけ。

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両手でも抱えきれない

眩しい風景の数々をありがとう

 

 私は明石公園の梅を。もう梅も終わりで、そろそろ桜のつぼみがふくらもうとしているね。季節の巡りを一番感じる春。あなたにも私にも、明るくやわらかに光がさしこみますように。視界はまた一段と開けていくよ。