往復書簡、ふたりの本棚

本や音楽×日々の出来事、ゆき(うっちゃん)とりえ(やそりえ)の往復書簡

藤棚の下で~『ママはテンパリスト』東村アキコ~ゆきより

  4月も後半となり、慌ただしくスタートした新生活のペースを掴みつつあるのかな。思いがけない保育園転園が決まるなど、息つく間もないだろうけど、あなたらしくそんな盛りだくさんな日々をこなしていってるだろうなと思います。

 5月が近づいてきて、近所の公園の藤棚も美しく仕上がりつつある。息子とここでお弁当を食べているとほんわか甘い香りがしてうっとりしてしまう。色っぽく、可憐で力強く、かつさわやかな藤の紫に憧れを覚える。同時に今のあなたが重なるよ。

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 引用してくれたランディさんの言葉を読んで、あなたのことなのか、私のことなのか、あ、そうか引用かって混乱しそうになるほどでした。全部が全部、あてはまりすぎてる。そして、改めて考えてみた。私が懐かしく思い出すのはどんなことだろう。もしかしたら何も思い出さないかもしれない。ただただ過ぎていった、本当のような幻のような時間。ぼんやりとしかない印象。子育てをしていて、そのときそのときは必死なのに、過ぎてしまえばなんだったのかよくわからない嵐のような夢のような感じがする。常に今現在に集中して時間を重ねるってこういうことなのかなって初めて知った。

 初めてママ友という友達ができて漫画を貸してくれた。育児ナメてましたという作者が、息子さんの面白エピソードを痛快に紹介してくれている。まだまだうちの子もこれから色々やってくれるんだろうなと、楽しみと恐怖を覚悟させられた。みんなこんな大変な目にあってるんだな、とわかるとなんだか少し強張った肩の力が緩む。漫画なので引用は難しいけれど、そうだなー特に印象的だったのは、全身ジュース浴びてしまってオムツいっちょで映画館で映画を観たっていうやつかな(笑)。自分事だったらヒヤヒヤイライラピキピキかもしれないけど、他人事だと笑っちゃうんだよね。あ、これお酒でのやっちゃった談もそうかも。いずれにせよ、その場で当事者は真剣な分笑えるのかもね。

  思いもよらない刺激的な毎日も、過ぎていけばなんだかぼんやりしていく。そしてただただ愛おしい気持ちだけになる。懐かしく思い出すのは、どんな出来事でもなくこんな愛おしさなのかもしれない。